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困ったぞ

(株)フジタ  剣持 三平

TVからサッカー中継の音が聞こえる。

日本チームが防戦一方で、ゴール前に全員が汗と泥にまみれて釘付けとなっている。

解説者が大きな声で「ディフェンス、集中、集中」と絶叫している。そうだ、そうだ、と興奮しながら、フト、ここで対戦相手に得点を許すと、集中していないことになるのかなァと考えるが、気をとりなおして日本チームを応援する。

 もう1つ、最近はあまり聞かれなくなったが、野球中継の「気力のヒットですネ」というもの。 暑い夏の甲子園大会のどうしてもヒットが欲しい時、どちらかというと小柄なバッターの、セカンドとライトの間にフラフラと上がったボールがヒットになり、応援しているチームが同点となった時など、これこそ、歓声が沸きあがる気力のヒットなのであろう。

   
ベルマーレ平塚[(前)フジタサッカークラブ]時代の中田選手 


メジャー・リーグを代表するプレイヤーであるイチロー選手の、センター前に抜ける糸をひくような打球に対しては、気力のヒットとは、多分、言わないものと思われるが、この気力のヒットに

しても、集中したディフェンスにしても、その結果はよいものであることは間違いない。

最近、驚くようなことがたくさん起きる。

「想定の範囲内」 が、何時の間にか、想定していなかったと思われる状況に変わってしまう ようである。

 我々の本業である建設工事においても予想しなかったような事故が頻発している。社会的に御批判をいただくような重大なことから、一歩、間違えば、という類いのことについても、何故こんなことになったかというワケを、 簡単に説明することができないのである。

 これらについては、構造物の果たす役割が、より重要になり、この結果、求められる品質が向上したこと、また、建設工事をめぐる社会環境が格段に厳しくなっていることなど、さまざまな理由が考えられる。ただ、このような事情とは別に、技術者として取組むべき困難な課題は、その時々で、たくさん有ったはずなのである。「何故、今はできないのかなあ…、でも、何となく難しいことが最近は多すぎるよ…」と言い訳めいたことを、ボンヤリ考えているのが現状である。

ただ、このようことでは、建設業の未来はおろか、現在ですらなくなってしまうと思われる。

 私も建設技術者のハシクレとして、「建設に集中…」を意識しなくてはと痛感している。

読者の皆様も「気力の建設工事!」をよろしくお願いします。あらゆる種類の事故を未然に防止するために、今こそ、全員の知恵が必要なときで はないのか と考えている。